乳牛「てめえみてーな田舎モンは家に帰ってミルクでも飲んでやがれ!!!」モオォォォォォ

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    1 :名無しさん 2018/11/14(水) 21:40:28.053 ID:FDmOESOv0.net

    ―酒場―

    キィィ…

    マスター「いらっしゃい」

    マスター「ご注文は?」

    男「こういうところ来るのは初めてなんで……なにかオススメをもらえるかな?」


    モオォォォォォ…


    男「!」

    乳牛「ギャハハハッ、笑わせてくれるぜ! 酒場にも来たことねえのかよ!?」

    乳牛「てめえみてーな田舎モンは、家に帰ってミルクでも飲んでやがれ!!!」モオォォォォォ

    男「…………」


    3 :名無しさん 2018/11/14(水) 21:43:49.054 ID:T0FHCeO40.net

           ________∩_∩
         /   ノ ヽ (  ノ⊂ ̄))) ̄⊃
         /|ヽ  (_ノ  ._ ̄  0'ヽ 0'
        / |ノ  .)    (_)  ヽ  i (  ムシャムシャしてやった
     ∋ノ |  /――、__  ./(∩∩) 草なら何でもよかった
          / /| ヽ__ノ   | / ./   今は反芻している
        | ( | ( ’’’    | ( /
        |__ヽ.L_ヽ        Lヽ_ヽ
    ''" ""''"" "'''''" ""''"" ''" ""''"" ''" ""''"" ''" ""''"" "'''.


    4 :名無しさん 2018/11/14(水) 21:45:08.886 ID:FDmOESOv0.net

    男「分かった、飲ませてもらおう」スタスタ

    乳牛「えっ?」

    男「あなたの……ミルクをね」

    乳牛「な、なによ! 近づいたら蹴るわよぉ!」モオォォォォォ

    男「つかまえた」ギュッ

    乳牛「しまっ……!」


    5 :名無しさん 2018/11/14(水) 21:48:19.732 ID:FDmOESOv0.net

    男「…………」ギュゥゥ…

    乳牛「はううっ!?」ビクビクッ

    チョロロロロ…



    ザワッ…

    客A「う、うまいッ!」

    客B「ちょっと搾っただけであんなに……。あいつ、搾乳し慣れてやがるぜ!」

    客C「いったい何者なんだ!?」

    ドヨドヨ…


    8 :名無しさん 2018/11/14(水) 21:52:26.390 ID:FDmOESOv0.net

    乳牛(やだ……搾乳されちゃった……)

    男「いただきます」ゴクッ

    男「ぷはっ」

    男「うまい……しかし」

    乳牛「!」

    男「あなたのミルクからは……“怒り”と“悲しみ”の味がする」

    男「どちらかというと、悲しみ成分の方が上かな……」

    男「もしや、あなたはついさっき悲しみと怒りを味わったばかりなのでは?」

    乳牛「どうしてそれを!?」

    男「僕は乳を飲むと、出した者の感情を把握することができるんだ」

    乳牛「あぐぐ……実は……」


    9 :名無しさん 2018/11/14(水) 21:54:51.647 ID:ZyyiV1Kqr.net

    すげえ


    11 :名無しさん 2018/11/14(水) 21:56:20.277 ID:FDmOESOv0.net

    男「子牛をさらわれた?」

    乳牛「ええ、荷馬車に乗った商人にさらわれてしまったの」

    乳牛「すぐ追いかけたけど見失っちゃって……だからこんなところでヤケ酒飲んでたのよ」

    乳牛「きっと坊やは売られて、誰かに食べられてしまうのよッ!」モオォォォォォ

    男「いや、諦めるのはまだ早い」

    乳牛「えっ」


    12 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:00:27.032 ID:FDmOESOv0.net

    男「僕はこの辺りの道には詳しい」

    男「ここらで子牛を売買するような場所といえば、南の市場だろう……」

    男「急げばまだ間に合うッ!」

    男「さあ、僕を乗せて走るんだ! 道案内は僕がやるッ!」

    乳牛「分かったわ! 燃えてきたわァ!」モオォォォォォ

    男「いや、“燃える”という言葉にはあまりいい思い出がなくてね。クールにいこう」

    乳牛「ええ、冷たい牛乳のようにクールにね!」


    ワァァ… ヒューヒュー

    マスター「フッ……今度来た時は酒飲んでって下さいよ」


    14 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:04:27.516 ID:FDmOESOv0.net

    ―道路―

    ガタゴトガタゴト…

    商人「ぐへへへ……この子牛を売れば、大儲けできるぜぇ……」

    子牛「ドナドナドーナ〜……ドーナ〜……」

    子牛「子牛を乗せてぇ〜……」

    商人「やかましいッ! いつまでも辛気臭い歌、歌ってんじゃねーぞ!」

    子牛「ドナドナドーナ〜……ドーナ〜……」

    子牛「荷馬車が揺れる〜」

    商人「ドナドナドナドナうるせーんだよ!」


    16 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:06:27.665 ID:KnF6ozt4r.net

    子牛が歌うのか…




    17 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:07:10.693 ID:FDmOESOv0.net

    商人「お前がどーなるかって? 決まってんだろ!」

    商人「このまま売られて、切られて、焼かれて、食われちまうんだよッ!」

    子牛(お、お母さん……)グスッ

    商人「気の毒だが……諦めるこったな。こっちだって必死なんだ」


    モオォォォォォ…


    商人「ん?」


    18 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:10:35.336 ID:FDmOESOv0.net

    男「待てーっ!」

    乳牛「待ちなさい!」モオォォォォォ


    ドドドドド…


    商人「なんだ!? 後ろから乳牛が走ってきやがる! 人間も乗ってる!」

    子牛「あれは……お母さんだ!」

    商人「なんだとぉ!?」


    20 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:13:39.316 ID:FDmOESOv0.net

    乳牛「追いついたわ」

    商人「くっ……! もっとスピード出しておけばよかった……!」

    子牛「お母さぁぁぁぁぁん!!!」

    男「さあ、観念しろ! 子牛を返すんだ!」

    商人「ふん……誰が返すか! こっちだって必死なんだからよォ!」バッ

    男(馬に乗った!)


    21 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:16:28.027 ID:FDmOESOv0.net

    商人「俺たちのコンビネーションを見せてやる……行くぞ、馬ッ!」

    馬「ヒヒィインッ!」パカラッパカラッ

    商人「こいつらに蹴りを喰らわせてやれッ!」

    馬「ヒィンッ!」ブオッ

    ドカァッ!

    男「ぐああっ!」

    乳牛「きゃあっ!」モォッ


    23 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:20:28.791 ID:FDmOESOv0.net

    商人「古来より、馬に乗った騎士は大勢いるが、牛に乗った騎士なんてのはいねぇ……」

    商人「なぜだか分かるか?」

    商人「馬は牛より強いからよッ!」

    男「ぐっ……!」

    商人「トドメだッ!」ドカラッドカラッ

    乳牛「また来るわ! どうしましょ!?」モォッ

    男「クールになるんだ……。一つだけ手がある……馬の下に潜り込んでくれ!」

    乳牛「分かったわ!」ドドドッ

    商人「馬の腹を攻撃する気か!? 無駄なことを――」

    男「いいや、そうじゃない……」


    24 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:23:11.774 ID:FDmOESOv0.net

    男(馬の乳を搾乳する!)ギュゥゥ…

    馬「おほっ!?」ビクビクッ

    チョロロロロ…

    男(僕は乳を飲めば、出した者のウィークポイントも分かる)グビグビグビ…

    男「この馬の弱点は――」


    25 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:24:25.895 ID:mLnD57JTr.net

    乳に関してはチートだなこいつ


    26 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:28:25.724 ID:FDmOESOv0.net

    男「耳に息を吹きかけることだ!」フッ

    馬「はうっ!?」

    馬「ヒヒィィィィィィン! ヒヒヒィィィィィィィィンッ!!!」ジタバタ

    商人「うわああああああああ!!!」ドサッ

    商人「ぐっ……落馬しちまった……」

    男「東洋には“馬の耳に念仏は通用しない”という諺があるそうだが……吐息は通用したようだな」

    乳牛「あたしたちの勝ちね!」


    29 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:31:13.096 ID:FDmOESOv0.net

    男「さあ、今のうちに子牛を!」

    乳牛「坊や!」

    子牛「お母さぁぁぁん!!!」タタタッ

    商人(まずい、このままじゃ……! あの子牛は絶対ゲットしねえと……!)


    「何をやっている」


    商人「ハッ!」ビクッ


    30 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:36:17.074 ID:FDmOESOv0.net

    商人「りょ、料理人さん!」

    料理人「南の市場でステーキ用子牛の到着を首を長くして待っていたが……このザマはなんだ?」

    商人「す、すみません! もう少しお待ち頂ければ――」

    料理人「もういい、お前はこの鉄板で焼いてやる」ガシッ


    ジュゥゥゥゥゥ…


    商人「あぎゃああぁぁぁぁぁっ!!!」

    馬「ご主人様ぁぁぁぁぁっ!!!」ヒヒィィィィィン


    31 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:39:27.474 ID:FDmOESOv0.net

    料理人「いつも牛ばかり焼いても飽きるしな。たまには人肉ステーキというのも悪くないッ!」

    商人「ぐぎゃあああああああ!!!」ジュゥゥゥゥゥ…

    男「やめろ!」

    料理人「ん?」

    料理人「お前の顔……どこかで見たことあるような……」

    男「一年ぶりだな……」

    料理人「一年ぶり?」


    33 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:44:21.248 ID:FDmOESOv0.net

    料理人「思い出した! お前はたしか、あの牧場の……」

    男「ああ、お前に牧場を焼き払われた酪農家だ!」

    乳牛「あなた、酪農家だったの!? まったく分からなかったわ!」

    馬「それに、牧場を焼かれたってのはどういうわけなんだ!?」

    料理人「私はステーキハウスを経営していてね」

    料理人「ある日、こいつの牧場を見学させてもらってたんだが」

    料理人「牧場を眺めてるうち、この牧場全部を焼いたらどんなステーキができるか、と思って」

    料理人「ついやっちまったのさ! 結局ステーキはできず、焼け野原ができただけだったよ!」

    馬「ムチャクチャだ……」

    乳牛「なんて奴なの!?」モオォォォォォ


    34 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:46:26.511 ID:mLnD57JTr.net

    むしろ酪農家じゃなきゃなんなのかと


    35 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:49:02.974 ID:FDmOESOv0.net

    男「あれから一年、僕はようやく立ち直り、お前を捜し続けた!」

    男「お前に無惨に焼かれた牛たちの仇は取る……行くぞッ!」ダッ

    男「でやぁぁぁぁぁっ!!!」

    料理人「ふん、遅いな」

    バキィッ!

    男「ぐぶっ!」

    料理人「どうだ? 鉄板で殴られた気分は? 結構効くだろう?」

    料理人「さて……お次はその体を鉄板で焼いてやろう!」グイッ

    男「うぐあああああああ!!!」ジュアァァァァァ…


    36 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:52:56.406 ID:FDmOESOv0.net

    料理人「遠い異国“ニッポン”には、“焼き土下座”という文化があるそうだが……」

    男「ぐあああっ……!」

    料理人「今のお前はまさにそれだな!」グイッ

    男「あぐあぁぁぁ……っ!」

    料理人「そのまま私に頭を下げながら焼け死んでいけッ!」

    男(熱い……僕は、ここまでなのか……!)


    37 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:52:59.614 ID:oHaPamXf0.net

    泣いた


    38 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:54:11.026 ID:mLnD57JTr.net

    ニッポンこえー


    39 :名無しさん 2018/11/14(水) 22:57:27.711 ID:FDmOESOv0.net

    子牛「お母さん!」

    乳牛「ええ、分かってるわ……あたしたちの恩人をこのまま見捨てるものですか!」モオォォォォォ

    乳牛「ミルクビーム!」ブシュウウウウウ…

    料理人「ミルクだとォ!? 鉄板冷やそうってんだろうが、ンなもん焼け石に水だッ!」

    ジュワァァァ…

    料理人「ほらな、あっという間に蒸発していきやがる!」

    乳牛「いいえ……今のは鉄板を冷やそうとしたんじゃないわ」

    料理人「なにッ!?」


    40 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:01:18.064 ID:FDmOESOv0.net

    男「…………」ゴクッ

    料理人「あっ!?」

    男「とても……おいしかったよ。濃厚でそれでいて後味スッキリ……理想的なミルクだ!」スッ

    料理人「な、コイツ……焼かれたはずなのに、火傷まで完治して……!」



    商人「そうか、牛乳はカルシウムやビタミンB2をはじめ、栄養が豊富だ!」

    商人「牛乳を飲めば、火傷を回復するぐらいわけないということかッ!」


    41 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:02:03.082 ID:HzcgYmyA0.net

    マジかよ牛乳すげえ


    42 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:06:47.523 ID:FDmOESOv0.net

    男「今こそ……みんなの恨みを晴らす!」

    男「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」ダッ

    料理人「ちいっ! 鉄板ガード!」サッ


    ガキィンッ!


    男「ぐ……!」メキッ…

    料理人「バカめ、鉄板を素手で砕けるわけないだろう! このまま拳を焼いてやるゥ!」


    43 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:09:09.346 ID:FDmOESOv0.net

    男「いや、砕ける!」グッ…


    ミシミシ… パキパキ…


    料理人「ゲッ!?」

    料理人「や、やめ……」

    男「お前は料理人なんかじゃない……ただの放火魔だッ!!!」グオオオオオッ

    料理人「うわ――」バキィィィン


    ドゴォンッ!!!


    料理人「げぶばぁぁぁぁぁっ!!!」


    44 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:12:42.834 ID:FDmOESOv0.net

    男「……終わった」

    男(しかし、俺にはもう待っている牛はいない……。全てあいつに燃やされてしまった……)

    乳牛「あの……」モオォォォォォ

    男「ん?」

    乳牛「この子にはまだ……父親が必要だと思うの」

    子牛「うんうん」

    乳牛「だから……あたしたち夫婦になって、もう一度牧場を経営しない?」

    男「僕なんかでいいのかい?」

    乳牛「うん、あなたとなら……幸せな牧場(かてい)を築けると思うから……」

    子牛「よろしくね、お父さん!」

    男「ああ、よろしく!」


    45 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:12:56.409 ID:4YA/uHbNr.net

    やったぜ


    46 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:13:41.440 ID:bvHWG/260.net

    どういうことなの……


    47 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:16:44.607 ID:FDmOESOv0.net

    馬「ちょっと待った!」

    馬「牧場には乗馬コーナーもあった方がいいだろ?」

    商人「宣伝や販売なら、俺に任せてくれ!」

    商人「子牛をさらった罪滅ぼしをしたいからな……」

    乳牛「あらやだ、ゴージャスな牧場になりそうだわ!」

    男「みんな、ありがとう……!」


    48 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:22:07.561 ID:FDmOESOv0.net

    乳牛「ほら、あたしのミルク……飲んで」チョロロロ…

    男「…………」ゴクッ

    男「うん、“喜び”と“希望”に満ちた、最高のミルクだ……!」

    男(このミルクとみんなの力があれば、間違いなく昔以上の牧場になる!)

    男「よーし、みんなで最高の牧場を作ろう!」

    モオォォォォォ ヒヒィィィィン







    ― 完 ―


    50 :名無しさん 2018/11/14(水) 23:29:15.210 ID:4YA/uHbNr.net


    マスターが牧場を訪れる後日談が目に浮かんだ


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