社長「社運を賭けた新商品の菓子……」

社長「生地の中身はいったい何にすべきだと思う？」

社員A「うーん……」

社員B「難しい……」

社員C「思いつかない……」

社長（いいアイディアが出ない……どうすれば……）

妻「ｱﾝ」

社長「そうか、餡か！　それでいこう！」



この新商品は飛ぶように売れたという――

先輩「俺、脱サラして店やろうと思ってるんだけど、どんな店がいいと思う？」

先輩「ラーメン屋がいいかな、それともお好み焼き屋か……」

夫「ﾊﾟﾝ」

先輩「そうか、パン屋か！」

先輩「そうと決まれば、さっそく修行だ！　ありがとう！」



先輩の開いたパン屋は大繁盛することになる――

主婦「あーあ、退屈だわ……退屈すぎてかえって家事がおろそかになっちゃう」

主婦「なにか面白い小説ってないかしら？」

妻「ｱﾝ」

主婦「アン……赤毛のアンね！　L・M・モンゴメリが書いた名作小説！」

主婦「さっそく買って読んでみるわ！」



主婦は大いに赤毛のアンを楽しみ、より家庭的な主婦となった――

なんだこれ

漫画家「くそっ、往復ビンタをする時の効果音どうしよう……」

アシA「ビシバシはどうでしょう？」

漫画家「イマイチだな……」

アシB「ペチペチは？」

漫画家「しっくりこない！」

夫「ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ」

漫画家「……それだ！」



おかげで漫画家は締め切りに間に合った――

学生「大学時代、最後に旅行行きたい……」

学生「どこに行こうかなー……」

妻「ｱﾝ」

学生「アン……そうか、アンコールワット！」

学生「世界遺産でもあるカンボジアのあの遺跡に行けば、きっと人生観が変わるかも……」



アンコールワットで学生は大きく成長し、立派な社会人となった――

通り魔「ふへへへ……」

青年「ううっ、通り魔に襲われるなんて……」

青年「どうする……。パンチを出すべきか、キックを出すべきか？」

夫「ﾊﾟﾝ」

青年「パンチか！　どりゃあっ！」

バキィッ！

通り魔「ぶげえっ！」

青年「僕のパンチってこんなに強かったのか！」



これをきっかけに青年はプロボクサーを志す――

おう…

とんでもねえスレにきちまった

少女「ねえねえ、しりとりやろー」

少女「エクレア！」

妻「ｱﾝ」

少女「やったー！　勝ったー！」

少女「やったやったやったやったやったーっ！」



少女はこれで自信をつけ、以後活発な元気な子になったという――

怪盗「あばよー！」ﾀﾀﾀｯ

警部「待てーっ！」

警部「ル……ル……ル、ルルル、ル……えぇと、なんだっけ」

夫「ﾊﾟﾝ」

警部「そうだ、ルパンだ！　ありがとう！」

警部「待てーっ！」



結局、警部は怪盗を逃がしてしまったらしい――

逃がすなよｗ

JK「あーあ、もっとオシャレしたいな。オシャレしていいオトコ捕まえたい」

JK「なにかいい女性誌ないかなー」

妻「ｱﾝｱﾝ」

JK「その手があったか！」

JK「さっそく読んで、いっぱいオシャレしよっと！」



この女子高生は見事、素敵な彼氏をゲットしたという――

神「突然ですが問題です」

神「ワシは誰でしょう？」

夫「ﾊﾟﾝ」

神「正解じゃ……！　ワシがギリシャ神話に登場する牧畜の神パンであるとよくぞ見抜いた！」

神「ご褒美に、牧畜をしている者どもに神の恵みをプレゼントしよう！」



おかげで牧畜業を営む人達は大いに儲けた――

女「はいあーんして」

男「じれったいな……もっとスピードアップしてくれよ！」

女「どうやってよ！　せっかちすぎるわよ！」

妻「ｱﾝ」

女「なるほど！」

女「はいあん！」

男「いただきます！」ﾊﾟｸｯ



このカップルの仲は良好となり、後に結婚した――

お笑い芸人「あーあ、近頃仕事が減っちまった」

お笑い芸人「もっと売れる方法はないかなぁ……」

夫「ﾊﾟﾝ」

お笑い芸人「そうか、パンツ一丁になればいいんだ！」ﾇｷﾞﾇｷﾞ



この芸人はパンツ一丁の芸で、大ブレイクしたという――

野球選手「ここは大事な場面だ……」

野球選手「ホームランと安打、どっちを狙うべきか？」

妻「ｱﾝ」

野球選手「たしかに……ここはヒットを狙っていく！」

カキィンッ！

野球選手「よし！　狙い通り！」



チームの勝利に貢献することができた――

飼育員「このところ来客が減っています」

園長「新しい目玉動物を仕入れねばな……」

飼育員「どんな動物にしますか？」

園長「うーむ、ラクダ、ヤンバルクイナ、ヤク……どれもパッとしないな」

夫「ﾊﾟﾝ」

園長「パン……パンダか！　それでいこう！」



動物園の来客数がV字回復したのは言うまでもない――

ゲーマー「くそっ、強い！」ｶﾁｶﾁｯ

ゲーマー「こんな強いボスキャラは初めてだ！　このままじゃやられちまう！」ｶﾁｶﾁｯ

妻「ｱﾝ」

ゲーマー「アン……安地！？」

ゲーマー「おおっ、安全地帯がある！　やった、これでクリアできる！」



ゲーマーは見事このゲームを制覇してみせた――

監督「このシーン、もっと迫力を高めたいが……」

監督「なにかいい撮影技法はないものか……」

夫「ﾊﾟﾝ」

監督「なるほど、パンか！」

監督「一定の位置でカメラを上下左右に振る≪パン≫という撮影法を使えば、もっと迫力が出る！」



この監督の映画は大ヒットした――

スパイ「他国の機密をどうにか掴んだぞ！」

スパイ「しかし、この機密をどうやって日本政府に伝えるべきか……」

妻「ｱﾝ」

スパイ「暗号か！　そうすれば敵に悟られずに済む！」

スパイ「よぉし、暗号を使って……」



スパイは功績を挙げることができた――

この夫妻神出鬼没すぎる

不良「金出せ！　出さなきゃブン殴るぞ！」

眼鏡「許して下さい……！」

不良「……ん？」

夫「ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ」

不良「この音……まさか拳銃！？　助けてぇぇぇぇぇっ！」ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

眼鏡「ありがとうございました！」



眼鏡をかけた彼は後に偉大な学者となる――

小説家「……どうしてもこの一文が書けぬ」

小説家「うーむ、ここで暗さを表現するいい言葉はないものか」

妻「ｱﾝｱﾝ」

小説家「“暗暗”！　そういう言葉もあったか！」

小説家「執筆意欲が湧いてきたぞぉぉぉぉぉ！」



この小説はベストセラーとなった――

鑑識「……」ﾊﾟｼｬｯﾊﾟｼｬｯ

警部「死体の頭部は平らにへこんでいる……」

警部「いったいどんな凶器で……」

夫「ﾊﾟﾝ」

警部「――フライパンか！」

警部「よし、フライパンを徹底的に調べろぉっ！　きっと指紋や血痕が見つかるはず！」

鑑識「はいっ！」



殺人事件は無事解決した――

友「二人はいつも仲良しだなー」

妻「ｱﾝｱﾝｱﾝ」

夫「ﾊﾟﾝﾊﾟﾝﾊﾟﾝ」

友「お前たち夫婦の好きな食いもんといったら……もちろんあれだよな？」

妻「ｶﾚｰ」

夫「ﾗｲｽ」







完

乙
カレーライスかよ！

志村けんのネタみたい