王「魔王を倒せる者はおらぬのか……!」 虫使い「バッタを使うというのはどうでしょう?」

    bug_batta_kougai.png




    1 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:30:04 ID:qXWudRIh00303.net

    大臣「……報告が入りました」

    王「おおっ、ついに勇者が魔王を倒したのか!?」

    大臣「いえ……勇者一行は全滅いたしました……」

    王「な、なんと!」

    大臣「もはや我が国に打つ手はありません……」

    王「くうう……誰か魔王を倒せる者はおらぬのか……!」



    虫使い「私にお任せ下さい」


    2 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:30:56 ID:NnGO+oLCa0303.net

    虫のいい話だな


    8 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:33:24 ID:qXWudRIh00303.net

    王「なんだ、おぬしは?」

    虫使い「私は虫使いと申します」

    王「虫使い……?」

    虫使い「この私が魔王軍など、たちまち蹴散らしてみせましょう」

    大臣「バカな、虫使いなどに何ができるというのだ! 相手は屈強な魔族なのだぞ!」

    虫使い「これを使います」カサカサ ピョンッ

    王「この虫は……バッタ……?」

    虫使い「ええ、バッタです」


    9 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:36:27 ID:qXWudRIh00303.net

    大臣「バッタなど、ただ飛んだり跳ねたりするだけではないか!」

    虫使い「そんなことはありません」

    虫使い「バッタは魔王をも倒す可能性を秘めた昆虫なのですよ」

    王「聞かせてもらおうか」

    虫使い「ある種のバッタは、密集した状態で過ごすと、ある変化が生じます」

    虫使い「色は黒ずみ、体は長くなり、より長距離飛行できる形態になっていき……」

    虫使い「そして……より獰猛になるのです。こうなったバッタを“群生相”と呼びます」

    虫使い「この性質は子にも受け継がれていき、彼らがひとたび群れをなした時の破壊力は」

    虫使い「まさに“災害級”といわれています」

    王&大臣「!」


    10 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:36:28 ID:8zMuKw5np0303.net

    バッタバッタとなぎ倒すわけか


    33 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:55:46 ID:+B9pk1cB00303.net

    >>10


    11 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:36:46 ID:FFB8Drm8d0303.net




    12 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:38:23 ID:qXWudRIh00303.net

    虫使い「私は独自の研究と品種改良で、この群生相のバッタを増やし、制御することに成功しました」

    虫使い「このバッタ達を魔王軍にけしかければ、たちまち壊滅させることでしょう」

    王「……」

    大臣「陛下……!」

    王「今のままでは我らは魔族に支配される。よかろう、やってみせよ」

    虫使い「ありがとうございます」


    17 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:41:30 ID:qXWudRIh00303.net

    ウジャウジャウジャウジャウジャウジャ…



    虫使い「これが私の育てたバッタたちです」

    大臣「ひえええっ……」

    王「いったい何匹いるのだ……」

    虫使い「私が号令をかければ、彼らは魔王軍に突進します」

    王「では、頼む」

    虫使い「ゆけっ! バッタ達よ! 魔王軍を蹂躙するのだ!」



    ブワァァァァァ… ブワァァァァァ… ブワァァァァァ…


    23 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:44:07 ID:qXWudRIh00303.net

    スライム「勇者どもが倒されたんだってさ」

    オーク「ついに俺たちの天下がやってくるな!」

    ゴブリン「ああ、魔族の勝利だ! 我らが人間を支配するんだ!」



    ブワァァァァァァァァァァ…



    スライム「ん?」


    25 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:46:28 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァァ…

    スライム「なんだこれ!? 虫!? ……バッタ!?」

    オーク「うわっ、体にまとわりついてくる! なんだこりゃ!?」バッバッ

    ゴブリン「ひいいいっ、噛みついてくるぞ! いでえ!」

    ワサワサワサワサワサ…

    うぎゃあぁぁぁ……!


    26 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:47:21 ID:T6xXwU6wr0303.net

    ひええ


    27 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:49:19 ID:qXWudRIh00303.net

    魔術師「……バッタ?」

    魔術師「ふん、そんなもの魔王軍一の術士である私が造り上げたゴーレムが粉砕してくれるわ!」

    ゴーレム「グオオオオオオッ!」

    ブワァァァァァ…

    魔術師「ククク、来たか」

    ブワァァァァァァァァ… ブワァァァァァァァァ…

    魔術師「ちょっ、こんなにいるのか!?」

    ゴーレム「グオッ!?」

    ワサワサワサワサワサ… ガサガサガサガサガサ…

    魔術師「うおっ、やめっ……!」

    ゴーレム「グオオオオッ……!」


    28 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:51:26 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァ…



    ヒュゥゥゥゥ…



    後に残されたのは――

    ボロボロのローブと物言わぬ岩の塊だけであった。


    31 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:54:15 ID:qXWudRIh00303.net

    リザードマン「ドラゴン様! バッタの大群が迫っております!」

    ドラゴン「ぐははは、恐れることはない!」

    ドラゴン「たかがバッタ風情、我が灼熱の炎でまとめて焼き尽くしてやる!」

    リザードマン「おおっ……さすがドラゴン様!」


    ブワァァァァァ…


    ドラゴン「来たか、ムシケラども!」


    34 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:57:14 ID:qXWudRIh00303.net

    ドラゴン「喰らえィ、灼熱吐息(ファイアブレス)を!」



    ゴォワァァァァァッ!!!

    メラメラメラメラメラ…



    ドラゴン「ぐはははは、全部燃え尽きたわ!」

    リザードマン「お見事です、ドラゴン様!」


    35 :名無しさん 2020/03/03(火) 18:58:16 ID:T6xXwU6wr0303.net

    やったか!?


    36 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:00:08 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァ… メラメラメラ…



    ドラゴン「へ」



    ブワァァァァァァ… ゴォワァァァァァァ…



    ドラゴン「ひいいいっ! 火をまとったまま突っ込んでくる!」

    リザードマン「助けてぇぇぇぇぇっ!」


    37 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:03:10 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァ… メラメラメラ…



    ドラゴン「へ」



    ブワァァァァァァ… ゴォワァァァァァァ…



    ドラゴン「ひいいいっ! 火をまとったまま突っ込んでくる!」

    リザードマン「助けてぇぇぇぇぇっ!」


    39 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:05:00.776 ID:3FoC+G0na0303.net

    ドラゴンの鱗でもバッタには耐えられないのか?


    41 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:07:24.568 ID:JRm/JuzLa0303.net

    肉を食べるってことは雑食なのか
    バッタ通ったあとは善し悪し関係なくなんも残らんじゃない


    42 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:07:35.836 ID:qXWudRIh00303.net

    側近「魔王様!」

    魔王「なんだ、騒々しい」

    側近「それが、バッタの大群に襲われ、部下が次々に……!」

    側近「あのドラゴンさえ骨だけにされてしまったようです!」

    魔王「不甲斐ない部下どもだ」

    魔王「ではワシが直々にバッタ退治をしてくれよう!」

    側近「お願い致します……!」


    44 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:10:07 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァァァァ…



    魔王「来たか」

    側近「な、なんて数だ!」

    魔王「ふん、いくら集まろうとしょせん虫ケラよ。我が闇の魔力でまとめて葬ってやる。カアアアッ!」



    ボウッ!!!


    45 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:13:50.454 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァァ…



    魔王「な、なんだと!? まだいるのか!?」

    魔王「ええい、今度こそ!」



    ズオッ!!!



    魔王「何千何万と消し飛んでるはずなのに……減らない……!」


    46 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:17:10 ID:qXWudRIh00303.net

    ブオォォォォォォォォォォ…

    魔王「わっ、まとわりついてきた!」

    モゾモゾモゾ…

    魔王「もごっ、口の中に……や、やめっ……」

    モゾモゾモゾモゾモゾ… ウゾウゾウゾウゾウゾウゾ… ガサガサガサガサガサ…

    魔王「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」


    47 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:19:40 ID:qXWudRIh00303.net

    魔王(体の外と、内から食い散らかされ……!)

    魔王(側近……! ワシを助けろ……!)

    シーン…

    魔王(とっくに骨になっておる……!)

    魔王「お、おのれっ……!」

    魔王「おのれバッタァァァァァッ!」

    ああああぁぁぁぁ……!


    50 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:23:23 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァァァァァ…



    虫使い「戻ってきました。終わったようですね」

    王「おお……!」

    大臣「本当にバッタが魔王軍を根絶やしに……!」

    虫使い「あとは私の号令で彼らを静め、誰もいないところに放逐してしまえば全ては片付きます」

    王「よくやってくれた。おぬしは世界の救世主だ」


    52 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:25:56.250 ID:qXWudRIh00303.net

    虫使い「では……静まれ!」


    ブワァァァァァ…


    虫使い「ん? ……静まれ!」


    ブワァァァァァァァァァァ…


    虫使い「な、なんで!?」


    53 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:28:17.660 ID:qXWudRIh00303.net

    虫使い(あのバッタ達、色がさらにどす黒くなっている……!)

    虫使い「まさか、魔族どもを大量に食ったせいでさらに変異してしまったのか!?」

    王「変異だと……?」

    大臣「ということは、どうなるんだ!?」

    虫使い「彼らは別の虫になった、といっても過言ではありません……」

    虫使い「もはや私にも……制御できません……」

    王&大臣「な、なんだとおおおおお!?」


    54 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:28:21.652 ID:lVO8yPKI00303.net

    あちゃー


    55 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:30:23.183 ID:qXWudRIh00303.net

    ブワァァァァァァァァ…



    大臣「おい、どうするんだ! 何とかしろっ! もうそこまで迫ってるぞ!」

    虫使い「もう……どうしようも……」

    王「おお……人も魔族も、バッタによって滅ぶのか……」



    うぎゃぁぁぁぁぁ……!!!







    END


    58 :名無しさん 2020/03/03(火) 19:33:41.016 ID:qX308bunr0303.net


    上級バッタ予報官さえいれば…



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