妖狐(♀)「あれ、この村の子?何してるの?」

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    1 :名無しさん 2020/03/28(土) 03:33:12 ID:oI3+v2HP0.net

    男の子「村?お母さんがオソーシキがあるからって連れてきただけだよ。お婆ちゃんが亡くなった?んだって」

    妖狐「へぇ。悲しくないの?ここにいていいの?」

    男の子「会ったことないしよくわかんない。あの家で遊んでたら怒られるしつまんないよ」

    妖狐「そうなんだ。へぇ、へぇ。けど、ここにきちゃダメって言われなかった?」

    男の子「ダメなの?そんなの知らないよ?」

    妖狐「ううん、良いよ。こっちの話。私も退屈してるから遊ぼうよ」

    男の子「いいよ、何して遊ぶ!ゲームボーイアドバンス持ってきてるよ!」

    妖狐「私、ゲーム機?っていうのよくわかんないからいいや。そんなのなくても遊ぶことはできるよ」


    4 :名無しさん 2020/03/28(土) 03:37:04 ID:kx52Zca40.net

    アドバンスってのがわかってる


    5 :名無しさん 2020/03/28(土) 03:37:21 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐(どうにか、こやつを祠まで連れていって封印を解かせればこっちのもの…のはずじゃが、どいつもこいつも臆病者でいつも上手くいかん…)

    妖狐(失敗すればまたいつここに人が来るか分からぬし、その前に人間で遊ぶか)

    男の子「じゃあ何して遊ぶ?」

    妖狐「隠れんぼしようよ!最初は私が隠れるからね!」

    男の子「いいけど、2人でやったらすぐ終わっちゃうよ?……あれ?」

    ガサガサガサ ガサガサガサガサ

    男の子「ここってこんなだっけ?ぼく、どっちから来たんだっけ?」

    「もういいよー」

    妖狐(どうせ遊ぶなら森の構造を変えた方が楽しいじゃろ。単調なのはつまらんからな)


    6 :名無しさん 2020/03/28(土) 03:43:24 ID:oI3+v2HP0.net

    男の子「はい、みっけー!」

    妖狐「えっ……な、なんで分かったの……?」

    妖狐(散々作り替えた森で面白おかしく惑わしたところで、実はすぐ最初の地点の木に登ってたと明かしてやろうと思ったのに)

    男の子「すぐいなくなったからまだその辺にいると思って。それに、声も大きかったから」

    妖狐「へ、へぇ…。じゃあ、今度は君が隠れる番ね!」

    妖狐(別に声なんてどこからでもどの大きさでも出せるわ!)

    男の子「よおし!やってやるぞ!数かぞえててね!」

    妖狐「うんー。さんじゅー……にじゅうきゅー……」

    妖狐(ま、1度限りの幸運は認めてやらないとな。だが、幸運は2度も続かぬ。わしの実力を教えてやらんとな)

    妖狐(とりあえず、子供相手に全力も馬鹿馬鹿しい。気配を追ったり、人智を超えた力はナシじゃな)


    10 :名無しさん 2020/03/28(土) 03:49:17 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐「はぁ…はぁ……あれ……?どこおー…?ねえー!」

    「こーこだよー!」

    妖狐(だからどこなんじゃそこは!人間の五感、鈍すぎじゃないか…!?木や土の匂いばかりであやつの匂いも分からんし…!)

    妖狐「ねえー!どこー!」

    「声出すから、声の方にきてよ」

    妖狐「わ、わかったー……」

    妖狐(な、なんたる屈辱……。けども、本気を出せばすぐわかる所をあえて付き合ってやってるわしの懐の広さよ)

    「あれ?声遠ざかってるよ!こっちだって!こっち!」

    妖狐(だからどっちなんじゃよ!そこは!)

    妖狐「こ、こっちー…?あってるー……?」


    13 :名無しさん 2020/03/28(土) 03:58:31.026 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐(結局、あれから毎日遊び倒してしまった……。楽しくなればなるほど、恐れられ逃げられるのが怖くなって祠に呼び出しづらくなっていく…)

    妖狐(いい加減、今日こそはちゃんと伝えなくてはな…)

    「ねえってば、ねえー」

    妖狐「な、なに?どうかした?」

    男の子「今日、帰っちゃうんだって!ちょっとだけ待ってもらっておわかれを言いに来たんだ!」

    妖狐「えっ…もう…?」

    男の子「うん!だから、名前教えてよ!聞いてなかったし!」

    妖狐「な、名前かぁ…ヨウコ、かな…?」

    妖狐(実際、人間にはそう呼ばれておったし嘘じゃないわな…。名前か…うーむ…後は、化け狐とかか?)

    男の子「そっか、ヨウコちゃんか!ぼくはタカシ!よろしくね!バイバイ!」


    14 :名無しさん 2020/03/28(土) 04:05:41.315 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐「あ、え、えっと……待って、タカシ?くん…」

    男の子「どうしたの?」

    妖狐「えっと…また遊ぼうね。楽しかったから…。バイバイ…」

    男の子「そうだね!また遊ぼう!これそうだったらお母さんに頼んでみるよ!またね!」

    妖狐(わしは間違ってない、わしは間違ってない…。そうじゃ、ここで焦りすぎてもよくない…。久方ぶりの人間じゃからな)

    妖狐(気味悪がられなければ何度でも封印を解くチャンスはくるじゃろ…。…あぁ、楽しかったな…また会える日が楽しみじゃ…)


    21 :名無しさん 2020/03/28(土) 04:33:13 ID:oI3+v2HP0.net

    男の子「ひさしぶり!また行きたいってお母さんに言ったら、お爺ちゃんも喜ぶって言われてすんなりこれちゃった」

    妖狐「う、うん…。ひさしぶり…」

    妖狐(本当に来おった!待った甲斐があったぞ!今度は何して遊ぼうか!今日の為に一人であれやこれやと慣れぬ工作をして色々用意したからな!)

    男の子「どうしたの?なんか、顔赤いよ?」

    妖狐「えっ?そ、そうかな…?なんでだろう?」

    妖狐(わしとしたことがガラにもなく浮かれておるな…。それに、何故かこやつ…じゃなく、タカシを見ておると自然と言葉も歯切れが悪くなってしまうし…)

    妖狐(わしが…恐れておる…?いや、それはない!それはないぞ!封印されていても、この辺りならわしは十分に活動できるしわしの方が強い!)

    妖狐(緊張……は、近いかの……。なんだか、ドキドキしてしおらしくなってしまう……。いずれにせよ、縁の薄かった感覚じゃな…)

    男の子「ぼくも先生に、大勢の前で発表しなさいって言われたらそうなっちゃうことあるよ」

    妖狐「そ、そうなんだ…へえ…」

    妖狐(以前、大勢の人間に囲まれて襲われた時は武者震いはしたもののこんな感覚じゃなかったがな…)


    23 :名無しさん 2020/03/28(土) 04:39:14 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐「わしが…じゃなくて!私が作ったんだよ、コレ!」

    男の子「何これ?どういう道具?」

    妖狐「竹とんぼって言って、高く飛ばして遊ぶの!いっぱいあるから好きなの使っていいよ!」

    男の子「飛ぶの、これ?」

    妖狐「もちろん!両手でこうやって持って…回転をかけて…ほら!」(ま、上手く飛ばなくても神通力で無理やり飛ばすがな)

    男の子「こう…?」ポテッ

    妖狐「思い切って強く擦り合わせても大丈夫だよ、顔に当たらないように腕を伸ばして……うん、いい感じ!」

    男の子「あ、ほんとだ!飛ぶ!凄い!ぼくも作りたい!」

    妖狐(爪で切り裂いて作ったから難しいな…。とりあえず、切った竹を用意して草で結んで固定する作業を一緒にやるか)

    妖狐「いいよ!けど、作るのは明日ね!他にも色々あるよ!竹馬でしょ!コマでしょ!将棋もあるよ!」


    24 :名無しさん 2020/03/28(土) 04:45:24 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐「タカシくんは間違ってないけど、無茶なことはやっちゃダメだよ。危ないんだから」

    男の子「で、でも!僕だっていい加減見返してやろうと思って!」

    妖狐「身体の大きい子や、相手がたくさんいる場合は挑まないのも手だよ。心配する人もいるんだよ?」

    男の子「でも…でも……悔しいままは、やだよ……」

    妖狐(タカシは危なっかしいな…。この前街から帰ってきた時は腕に傷が残っておったし、タカシの親は一体何をしておる…)


    男の子「みんなにヨウコちゃんのこと言ったら、嘘つきって言われたよ。お前みたいなのが女の子と仲いい訳ないってさ」

    妖狐「大丈夫、嘘じゃないのは私がよく分かってるよ」

    男の子「うん!僕も言い返してやったよ!ヨウコちゃんはちゃんといるし、可愛いって!」

    妖狐「か、可愛い…?そ、そうかな…?」

    男の子「うん!僕が保証するよ!」


    25 :名無しさん 2020/03/28(土) 04:52:23 ID:oI3+v2HP0.net

    男の子「なんかさ、お爺ちゃんが具合悪いんだって。亡くなると、もう会えないんだって」

    妖狐「そうだよ、だからね。おじいちゃんが好きなら話せるうちに話しておこうね」

    男の子「うん!それでね、おじいちゃんがここは危ないから来るなって言ってたよ。何でも、ヨウコが凶暴なんだって。凶暴なの?」

    妖狐「うん、私は凶暴だよ。がおー!」

    男の子「ははははっ!」

    男の子「それでね、おじいちゃんが亡くなったらしばらくここには泊まることはないだろう、だって。でもね」

    男の子「そうなっても電車で来れるって聞いたからぼく、またくるよ。ヨウコちゃんと会って遊びたいもん」

    妖狐「そっか、ありがとう。私もタカシくんともっと会って遊んでたい。けど、お爺ちゃんも大切にね。タカシくん、お爺ちゃん好きだったもんね」

    男の子「うん、好きだよ!ヨウコちゃんもお爺ちゃんも好き!この場所も好き!」

    妖狐(何もないつまらないところかとおもっておったが、タカシと過ごしだしてからわしも案外悪くないと思い出してきた…。こういうのも、いいかもな…)


    26 :名無しさん 2020/03/28(土) 04:58:47 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐「ちゃんと友達はいる?女の子とも上手くやってる?子孫は残さないと人生つまんないからねー」

    男「まぁ、ほどほどにはいるよ、友達。女の子とはヨウコちゃんが1番仲良いかな。今のところ」

    妖狐(わしって人間と子作りできるのか…?試して来なかったが、案外いけるのか?だとしても、子に何と名付ければいい!?そもそも、子育てなんぞ無縁じゃし!わし…!)

    妖狐「こ、こども……つくろう、ね……」カーッ

    男「う、うん……?そういえば、ヨウコちゃんが教えてくれたヨウコって名前さ。妖しい狐と書いて妖狐なんだね、なんかお爺ちゃんの言葉思い出してるとそんな気がしてきた」

    妖狐「えっ…?えっと…」

    男「あぁ、いや、だから嫌いとかそういうことじゃなくて、しっくりきたなって。そもそも人間離れして綺麗だし、ヨウコちゃん」

    男「僕がさ、ヨウコちゃんは変わらないよねって昔言った時に次の日、いきなり1歳くらい成長して現れたりヨウコちゃんといたら平然と怪奇現象起きるし」

    妖狐(最近はそーっと年齢をあげるようにしてたが、覚えてたか…。神通力も、タカシが大きくなってからはバレないように使ってたつもりじゃったが…)

    男「ヨウコちゃん、気を使ってくれていたんだろうけど、別にいいよ。それでも僕がヨウコちゃんが好きなのは変わらないし」


    30 :名無しさん 2020/03/28(土) 05:05:08.810 ID:oI3+v2HP0.net

    妖狐「そ、そう?楽にしてもいい?本当に?」

    男「うん、いいよ。別にいきなり襲いかかって食べてくるわけじゃないんでしょ?」

    妖狐「それは流石にないよ!じゃ、お言葉に甘えて…」 パッ ポンッ

    男「狐耳!しっぽ!かわいい!たまに出してる時あったから気になってたんだよね、触ってもいい?」

    妖狐「い、いいよ…。けどあんまり触られなれてないからそーっとね…?」ピクピク

    妖狐(隠し忘れてたか…。ま、それでも仲良くしてくれるのがタカシか…。受け入れてくれてるともっと早くに気付けばよかったな…)

    男「ありがとう、気をつけてみる」サワサワ

    妖狐「んっ……」(そういえば、わしは…元々はタカシを祠に連れて行って封印を解いてもらおうとしていたのか……)

    妖狐(今の暮らしも悪くないと思っていたが、自由になればいつでもタカシの傍でいられる、話したり遊んだり…)

    妖狐「タカシくん、お願いがあるんだけどいいかな…?」


    31 :名無しさん 2020/03/28(土) 05:12:20 ID:oI3+v2HP0.net

    男「あそこの縄を解いて剣を抜いて、それから岩をどかせばいいの?」

    妖狐「うん、岩の中には私の本体が閉じ込められてるの。封印が弱まって、1部は何とか出られてるけどそれでも、引き寄せられて森の外には出られないの」

    妖狐「私がこれに触ればまた強力な力で分身の私も封印されてしまうから手こずってたの。岩の下から何か嫌なものを感じるかもしれないけど、それは私だから…」

    男「とりあえず、やってみる」ガシガシ

    「だせ……ここから……。のろう、のろってやるぞ……ひとりのこらず……くいつくしてやる……」

    男「大分怒ってるけど大丈夫…?これ、想像以上に力技が求められるな…」

    妖狐「1部は出られてるけど、こっちはずっと閉じ込められっぱなしだからね…。一つになってしまえば落ち着くとは思う」

    男「何があったかは分からないけど、そりゃやりたいことも満足にできず窮屈な思いしてたらこうもなるかな…くっ……」ギギギギギギギ カランカランッ

    男「あとは、岩をどければ……ぐぐぐぐ……」

    ドスンッ ゴロッ ゴロゴロゴロッ


    32 :名無しさん 2020/03/28(土) 05:19:56 ID:oI3+v2HP0.net

    「きさまらはっ…!…なんだ……?出られた……のか……?ここは…?」

    妖狐「そうだ、わしの中に帰ってこい。いいぞ……。力がみなぎる……これだ、この感じだ……」

    妖狐(意識がはっきりとしてきた…。恨み辛みの感情が晴れていく…。タカシのことは、ちゃんと覚えておる…。よし、いいぞ…向こうにいたわしもタカシのことを気に入ってる様じゃな…)

    妖狐(タカシには恩があるからな…。間違っても、危害を加える様なことは許さん…。あぁ、そうじゃ…ワシは、タカシが好きじゃ…)

    男「終わった…?これで自由ってことかな、随分あっさりとしてるな…」

    妖狐「ありがとう、タカシくん!これでいっぱいお話出来るね!遊べるね!どこへでも一緒に行けるよ!」ギュッ

    男「よかった。僕の住んでるところ、案内したかったからさ。行こっか」

    妖狐「うん!私さ、アレまた食べてみたい!タコ焼き!あるんだよね!」

    男「あぁ…お祭りで買ってもらったのをヨウコちゃんと食べたことあったっけ。うん、食べられると思うよ。色んなお店があって味も若干違うよ」

    妖狐「へえ!どれが1番美味しいんだろうね!楽しみ!」

    男「どれだろうね。タコ焼きだけじゃなくて、他にもたくさんあるよ食べ物は。…手、繋ごっか」

    妖狐(わしは生まれた時から、他の存在よりも強かったから…他人を対等に認めることなんてないと思っていたが…別じゃな、"タカシくん"は……)ギュッ


    33 :名無しさん 2020/03/28(土) 05:27:27 ID:oI3+v2HP0.net

    「っていう私とお父さんのお話でしたー、めでたしめでたし」

    男の子「お母さん、僕もそれくらい嘘だって分かるよ!妖怪なんてほんとはいないんだよ!」

    女の子「いるもん!お兄ちゃん、サンタさんもいないって言うから嫌い!」

    「どうだろうねー?お母さんが妖怪だから、お父さんはたまに私の事を怖がるのかもねー、ふふっ」

    男の子「ウワキしたって思われたら女の人はみんな怖くなるってお父さん言ってたもん!ぼくのお嫁さんもそうなるんだって!」

    女の子「お兄ちゃん、いじわるなこと言うから私もお兄ちゃんのこと怖がらせたいー!」

    オギャア オギャア オギャア

    「あー、よしよし…お母さんは怖くないからねー…がおー…」

    「ただいまー」

    男の子「あ、お父さん!お母さんがねー!」 女の子「お父さん、お父さん!お兄ちゃんがね!」

    妖狐「よかったねー、お父さん帰ってきたよー。いっぱい遊んでもらえるねー」

    キャッ キャッ

    おわり


    34 :名無しさん 2020/03/28(土) 05:29:46 ID:YJ/qqGxx0.net

    乙ハッピーエンドで終わってよかった



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